Member
Introduction
繋-TUNAGU- 会員様インタビュー

- TOP
- Member Introduction
- 「エシカル」をキーワードに、優しい社会を作りたい
株式会社ラントレ
代表取締役社⾧
塗野 直透 氏
(略歴)
2000年8月 大阪府生まれ
2020年8月 株式会社ラントレ設立 代表取締役社長(現在)
2022年8月 一般社団法人ETHICAL EXPO JAPAN設立 代表理事(現在)
幼少期の記憶が進路を決めた
母子家庭に生まれた私は、幼少期を広島の母子生活支援施設で過ごしました。小学校入学と同時に、大阪にある母の実家に戻りました。それからは、頑固な祖父が父親代わりとなりました。祖父にはたくさん叱られましたが、多くのことも教えてもらいました。やがて高校生になり、進路を考える時期が訪れたとき、不意に、支援施設に身を寄せる人たちの姿を思い出しました。私たちよりもはるかに過酷な状況に追い込まれ、自立が困難な母子がたくさんいたのです。
政治家になって、弱い立場の人にもしっかり目が向けられる、優しい社会を作りたい。それが私の夢になりました。
早稲田大学の政治経済学部を目標に定め、必死に勉強を重ねて合格圏内に入ることができましたが、受験を目前に控えたある日、祖父に末期のすい臓がんが発見され、余命半年の宣告を受けました。家族の生活は一変。「家から近い大学に通ってほしい」という家族の意向で自宅から通える大学に進むことになり、「早稲田でなければ政治家にはなれない」と思っていた私は将来が絶たれたと絶望しました。

起業という新たな目標を掲げ、突き進んだ学生時代
入学当初は気持ちが切り替えられずにいましたが、「政治が無理でも、経済の側面から社会を変えられるのではないか?」という考えが浮かび、次第に思考が前向きになっていった私は「二十歳になったら起業する」と、新たな決意を掲げました。
起業に必要なスキルを明確にし、早々に行動に移しました。まずは営業力を身につけるべく、個人事業主として明治乳業の訪問販売を開始。もちろん営業は初めてで、知らない方のお宅の呼び鈴を押すことに恐怖と緊張を感じましたが、政治家をあきらめた私は背水の陣で営業に向き合い、自分の根性を鍛え直しました。社会人や先輩と共に高め合いながら、数ヶ月後には営業所内で1位の成績を収めることができました。
営業力の次は、経営力です。知人から会社経営者を紹介してもらい、「営業のお手伝いをさせていただきつつ、経営について教えてください」と弟子入りして、修行を積みました。
一方で、仲間づくりにも力を入れました。その一つが、NPO主催の、カンボジアでソーシャルビジネスを開発する留学プログラムへの参加です。そこで会った志を同じくするメンバーが、今の会社の社員になってくれています。
カンボジアから帰国して大学2年生になった春、新型コロナウイルスのパンデミックが始まりました。授業はオンラインのみになりましたが、時間が空いたことはチャンスでした。学生団体を立ち上げ、フェアトレードに取り組むNPO法人のプロモーションを始めました。私たちの役割は、若い世代へのアピールです。SNS活動を代行して、フォロワーを100人から2000人まで増やした例もあります。
この頃は「たくさんの社会人と会って話す」を重視していました。毎月100人、一年で1000人が目標でした。一緒に仕事をさせていただきながら、企業の実践的ノウハウを学び、一
歩ずつ実績を積んでいったのです。

起業、使命は祖父の価値観を広めること
20歳の誕生日に、株式会社ラントレを立ち上げました。主な事業は、社会課題解決に取り組む若者と企業が集うプラットフォームを運営し、事業パートナーや仲間づくりを推進する様々なサービスの企画・運営ですが、会社の使命は、エシカルを広めることです。
エシカルに目覚めたきっかけは、亡き祖父です。祖父から教えてもらったことの一つに「いいものを長く使う」がありました。私は今も、祖父の時計や革靴を使っています。そして亡くなる直前、最後の教えとして次の言葉を授けてくれました。「『いいものを長く』って言い続けてきたけど、それはモノだけの話じゃなくて、人や自然との付き合い方も、全部同じこと」。
目から鱗が落ちる思いでした。その価値観を一言で表す言葉を探して、見つけたのが「エシカル」です。エシカルは倫理的、道徳的という意味ですが、語呂合わせで「影響をしっかり考える」とも言われます。自分の行動が他に与える影響を考えて配慮できる、エシカルな人が増えれば、私の目指す「優しい社会」につながると信じています。
学生と企業、双方よしのエシカルエキスポ
在学中、歯痒く感じていたことがあります。学生団体が個別に頑張っても社会を変えることは簡単ではなく、就職活動が近づけば活動を控える学生も少なくありません。それはもったいない。点が無力なら、点と点を線に、線と線を面にしてインパクトを出そう。あちこちで話すうちに、共感の輪が広がっていきました。機会を得てグランフロントの総合プロデューサーに想いをぶつけたところ、なんと、会場を貸していただけることになりました。走り回って協賛企業を集め、2023年の6月、第1回目の『エシカルエキスポ』の開催に漕ぎつけました。
エシカルエキスポでは、企業と学生が数カ月かけて共にプロジェクトを企画し、出展します。私たちの仕事は、企業と学生のマッチング。学生たちはプロジェクトを通じて企業を深く理解し、展望も共有するため、自然と採用の機会へと結びついています。企業からは「入社後も熱量が高い人材と出会えた」と高評価をいただいています。
企業にとってもう一つのメリットは、プロジェクトに参加することで既存の社員が、自社の経営理念や社会使命への理解を深めていくことです。共感いただいた大手企業の方々には、おかげさまで継続的にご参加いただいております。

エシカルは、特別な考え方ではありません!
エシカルと聞いて「うちの会社は小さいし、社会貢献なんてできないよ」と仰るお客様もおられます。しかし、経済とはそもそも経世済民。すなわち世を経(おさ)め、民を済(すく)うこと。どの企業も理念を持って経済活動を行っており、必ずエシカルの要素があります。外からは見えにくいけれど、今の若者が求めているものは、実はそこにあります。企業のエシカルな面をイベントを通して、若者に発信することが、私たちの仕事です。エシカルがかっこいい世界を創るためには、創業理念を大切に社会性を伴った事業をされている企業や、理念を守らないといけません。我々が、各社のエシカルを深掘りし、 若者に届けていきたいのは、理念や意志を継ぐ若者がその会社に入り、残っていかなければ、そもそもその会社の存続は難しくなるからです。故に企業のエシカルを、若者が共感しやすいように情報を届けるサポートをさせていただいております。
これからもエシカルエキスポというフラッグシップイベントを起点に、エシカルに共感してくださる企業と若者とのコミュニティを広げていくつもりです。直近の目標は8都市での開催ですが、
将来は全国展開を目指しています。
特技は体と心を鍛える格闘技
小学校から高校まで、総合格闘技をやっていました。きっかけは、広島から大阪への引っ越しです。子供心に「弱さを見せず強くありたい」という思いがあり、少林寺拳法の師匠に頼んで特別に稽古をつけてもらいました。負けたくないと始めた格闘技ですが、肉体的な自信は人としての根本的な自信につながると実感しています。「強さは優しさ」という座右の銘も、この実感に由来しているのです。
GCCO会員の皆様から学び、共に歩みたい
私は24歳で、まだまだ青二才です。実は人見知りなのですが、会員の皆様からたくさん学ばせていただくため、いろんな方と交流を深めたいと思っており、イベントにも積極的に参加し楽しみたいと思っています。先輩の皆様からも、気軽にお声をかけていただければ嬉しいです。
エシカルの取り組みにおいて、私どもが背伸びしてでも企業のみなさまへお声がけさせていただくのは、上に立つ方々の行動で、世の中の変化が実現する、という思いがあるからです。大きな企業や、社内で影響力を持つ方と共に歩み、変化のきっかけを一緒に作らせてもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。

(インタビュー記事:ライティング株式会社)

