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繋-TUNAGU- 会員様インタビュー

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- 人が集まって楽しめる場を作りたい
株式会社てりとりー
代表取締役
福本浩幸 氏
(略 歴)
1981年12月 大阪府堺市 生まれ
2004年 3月 神戸大学 卒業
2004年 4月 宝酒造株式会社 入社
2009年 3月 宝酒造株式会社 退社
2010年10月 南の島酒場てりとリー 創業
2013年 1月 株式会社てりとりー 設立
人が集まる「場」を作りたい
小学校から社会人まで、野球をしていました。野球の魅力はチームプレーです。試合後の打ち上げも大好きでした。人が集まって楽しめる場を作りたい、という思いが今の仕事の原点なのかもしれません。
大学卒業後、酒造会社に入社しました。第一志望ではなかったため悔しくて「5年で辞めて飲食店を始めるぞ」と思いつつ、踏み出せない自分がいました。そんなとき、大学の同級生が会社を辞めてプロ野球に挑戦し、見事入団したのです。この友人のおかげで、飲食業の世界に飛び込む決意ができました。
さっそく、ある居酒屋で修行を始めましたが、すぐに才能がないことに気づきました。随分と落ち込みましたが、唯一作れたものがありました。それが、沖縄料理。素材がよければ味付けは簡単だったからです。さらに、沖縄の陽気なイメージは、私の目指す「楽しいお店」にも一致していました。これで独立への覚悟が決まりました。
開業は、リーマンショック後というタイミングにも恵まれ、なんと梅田の一等地のテナントが空いていました。マーケットリサーチするうち、沖縄料理店は都心部には少ないことに気づきました。焼き鳥屋200軒に対して、沖縄料理店は10軒ほど。これなら商機がある、と確信しました。
勝つための秘策は、リピーターの獲得
ニッチな飲食店では「リピート率」が決め手です。そこでお客様との「接点」をより多く作るよう意識しました。たとえば、お帰りの際に、一人一人にサーターアンダギーを手渡ししながらお礼の会話をするよう心がけました。こうすれば、あとで食べた時に次回の来店動機にも繋がります。また店舗内にも「絶対に押してはいけない呼び鈴」など、ほろ酔い客が楽しめるしかけを施しました。
このような試行錯誤により安定成長の手応えを感じられるようになりました。おかげさまで飲食業の平均リピート率は3割ですが、弊社では65%を達成している店舗もあります。
コロナ禍を経て、本当のファンを獲得
順調に思えた道のりを突如襲ったのが、新型コロナウイルス。街から人が消え、売上がコロナ前の10%にまで落ち込む店舗もありました。
助成金により、従業員への給料支払はなんとか継続できていました。しかし「お金だけもらっても、やりがいがない」との理由で離職が増えたのです。飲食業にとってスタッフは宝物です。このままでは組織が崩壊します。
悩んだ末、ひとつの決断を下しました。営業再開です。緊急事態宣言発令中ですから「世間の冷たい目」は予想できました。
不思議なことに、開店していればお客様はいらっしゃるものです。なので、いつも以上に心を込めて接客しました。「他はすべて閉店。息を抜ける場所がない。本当にありがとう」と、感謝の言葉までいただきました。非常事態を共有したお客様と私たちは、いわば同志であり戦友です。お客様との絆が深まりました。これがほんとうの顧客満足なのかもしれません。
人を育てることも使命の一つ
顧客満足だけでは組織は成長しません。従業員満足が大切です。
そのため人材教育には投資を惜しみません。まず、新入社員には3カ月連続でみっちり会社の「理念」を学んでもらっています。私自身も講師として、このGCCOのラウンジをお借りして研修をします。幹部になると、グロービス経営大学院で出会った講師のマーケティングの授業を受けるなど、より発展的になります。おかげで「沖縄そば」の専門店を作ろうという新たな分野へのチャレンジがおこるなどプラスの効果もでてきました。
飲食業界では、同じ会社に長く勤め続けられる人が少ないのが現状です。辞めた後にも、真っ当に人生を歩んでほしい、そのために信頼されるに足る人物になってほしいという思いで、人材教育には手間暇を惜しんでいません。
沖縄の食の未来に目を向けて
仕入れなどで、沖縄訪問の機会が増え、様々な課題を知りました。例えばB級品が捌けない、魅力ある商品なのに売り先が少ない、などです。
てりとりーは、沖縄料理店として日本一の店舗数を持ち、都会の一等地に店を構え、年間35万人ほどのお客様がいらっしゃる。これを活かさない手はありません。私たちの店舗が情報発信基地となり、沖縄の魅力を発信していく──そのような活動をこれからも続けていきます。
従業員とも大きなビジョンを共有しています。「僕たちの仕事は、そのまま沖縄への地域貢献につながる」という意識を持ってもらっています。このビジョンを浸透させるため、研修には「すべての社員」を集めます。「同時同場同行」、同じ時間に同じ場所で同じ行いをする、という言葉の体現です。また、年に1度は店を閉めて全員で沖縄に行き、生産者を訪問するなど働くモチベーションを高めています。
行ったことのない場所、見たことのないものを求めて
休日はいつも家族と過ごします。好奇心旺盛で、観光やアウトドアが好きなので、近場の山に登ることもあれば、海外に行くこともあります。有名な観光地より、少しマイナーな土地に惹かれます。未知の世界で、見たことないものを見たい、という気持ちが強いかもしれません。したがって、家族旅行の企画はすべて、私の担当です。今年の夏はカンボジア、秋には網走に行きました。旅先でもつい仕事目線になって、経営のヒントを探してしまうのが悪い癖で、家族からはよく、お小言を頂戴してしまいます(笑)。
新しい出会いが広がるGCCO
中西卓己さんとのご縁によりGCCOに入会しました。会員の皆さまは立派な肩書きをお持ちの方ばかりですが、先輩方は、自然体で話しかけてくださりますし、立ち居振る舞いすべてから、多くを学ばせていただいています。
私のような若輩者は、自分の視点や思考回路からなかなか抜け出せないと感じていました。普段の付き合いも同業者ばかり。でもGCCOでは、幅広い年代、様々な業種の方と交流が自然と深まり、新しいものの見方を教えていただけます。
弊社の従業員も、研修の場として定期的にラウンジを使わせていただいています。スタッフの皆さんがホテルマン以上のサービスをしてくださいますから、私たちも「晴れの場」として服装を改め、背筋を伸ばして勉強させていただいています。
最後に。沖縄が大好きです。なので、会員の皆さまにも沖縄を好きになってもらえたら嬉しいです。現地旅行の際は、何でも聞いてください。素敵な旅になるよう、ご案内させていただきます!
(インタビュー記事:ライティング株式会社)