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繋-TUNAGU- 会員様インタビュー

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- 「挑戦」をキーワードに、新たな価値を創出する
関電サービス株式会社
代表取締役社長
時政 幸雄 氏
(略歴)
1957年 大阪府大阪市 生まれ
1980年3月 東京大学法学部 卒業
同 年4月 関西電力 入社
2016年4月 関西電力 常務執行役員
2019年6月 関電サービス株式会社
代表取締役社長(現在)
「やりたいことをやってみる」を繰り返した学生時代
中学・高校時代は部活動を楽しみ友だちと遊ぶ、ごく平凡な毎日を送っていました。大学は法学部に進学しましたが、弁護士になる気はなく「この4年間は人生勉強の時間だ」と考え、興味が向いたことに片っ端から挑戦しました。演劇をやってみようとイチから舞台づくりをしたり、文芸誌を発行したり、バンド活動もしました。ただし、どれも継続的な活動には至りませんでした。「面白そうだから、とりあえずやってみよう」と取り組み、「楽しかった」と満足して次の挑戦をする。その繰り返しでした。それほどドラマチックな出来事はありませんでしたが、妻と出会い多くの友人と様々な経験を得て卒業し、関西電力に入社しました。
就職の選択肢はいろいろ考えましたが、商社、金融、メーカー……その中で「人々の生活や地域産業を支えるエネルギー分野がいい」と、漠然と思ったのです。
多様な経験から、自分なりの「仕事の3原則」を体得する
関西電力に勤めていた約40年間のうち、半分以上は秘書業務に携わっていましたが、振り返れば実に多種多様な仕事を経験させてもらいました。1年目は営業所で窓口業務、2年目は企画部、3年目はアメリカに留学して法律を学び、帰国後は法務部門に配属されました。関西電力の子会社で人材派遣会社の社長をしたり、神戸の営業所長に就いたこともあります。新しい部署に配属されるたび、業務内容としては理解できても、実際にどう手を動かせばいいのか知らないことばかりでしたがそれでも仕事ができたのは、その部署の人たちが支えてくれたからです。
私が心がけていたのは、主に3つです。「仕事の基本を大切にする」「勇気を持って変革に挑む」「風通しの良い明るい職場を作る」。
仕事の基本とは、その業務が「何のため、誰のため」に存在しているのか、です。実際にはこの基本とは直接関係ない部分でトラブルが起きたり、複雑な課題が生じたりするため忘れがちですが、どのような問題も基本に立ち返れば、見えてくるものがありました。
何のため、誰のためにこの仕事をするのか。本来の目的に沿うことができない状態になっていれば、正さなければなりません。周囲から批判を受けるなど、さまざまなリスクはありますが、必要な改革には勇気を持って挑むべきです。
そして変革は、全員が納得し、一丸となって取り組まなければ実現しません。そのためにも、風通しの良い明るい職場づくりは不可欠でした。
どの仕事も部署独特のもので、共通性を見出せるものではありませんでしたが、いつしかこの3つが大切だと感じるようになっていました。関電サービス株式会社の代表取締役社長となった今も、変わらず心に留めています。
長年続けていた業務が、なくなった
関電サービス株式会社の業務は、ほとんどが関西電力からの受託です。以前は電気メーターの検針、つまり各お客様の電気メーターの数字を目で見て確認し、紙に記入してお知らせする業務が大きな割合を占めていました。
しかし、さまざまな分野で技術革新が進む現代はまさに生々流転。通信機能が搭載されたスマートメーターが設置されるようになり、毎月の使用量は自動的に収集されるようになりました。使用電気量のお知らせもハガキやWebが主体となり、足を運ぶ必要がなくなりました。最も大きな割合を占めていた業務が、急速に減っていったのです。検針業務についていた契約社員を断腸の思いで半分以下に減員しながら、新たな仕事の獲得に励みました。電気・ガスの契約管理などの集中事務処理センターやコールセンター、電気・ガス機器の安全検査、駐車場運営等々を新たに受託したり、地域密着の強みを活かした空き地・空き家調査、イベントの企画・運営、発電所の見学ツアー以外の一般のお客様向けの企画旅行など、数年かけて業務の構造改革を進めているところです。
生え抜き社員を育成し、新たなビジネスに挑戦する
当社は今年で創立40周年を迎えます。関西電力とお客様の接点になる立場にあり、そのため「約9割が関西電力からの受託業務」という状態でした。しかし、10年後も同じように同じ業務を受託できるとは思えません。自分たちにできることを提案し、仕事を獲得する。または、まだ社会にない新しい価値を見つけ出し、新たなビジネスとして育てていく。当社は元々関西電力からの出向社員や転籍社員が多いのですが、これからの当社を担う生え抜きの社員がそうした意識を持ち経験を積まなければ、会社は存続できないでしょう。
そこで、新規事業を考える社員研修を実施したり社内から事業アイデアの募集をしたりして、そこで出たアイデアから面白そうなもの、地域の活性化に貢献できそうなものや、新しい価値創出に繋がりそうなものを選び、実現に向けて取り組んできました。
たとえば「小麦アレルギーの人が安心して毎日食べられるパン」。小麦粉を使わない米粉パンが人気を博している中、新しい価値を提供できるとしたら、どのようなパンなのか。4年以上かけて検討し、酒米から作る「生米パン」という商品にたどり着き、2023年5月、ついに専門店を芦屋市にオープンしました。
昨年2024年7月からは、岐阜県の大井ダムの敷地を活用して「愛犬と泊まれる」をテーマにしたグランピングの運営を開始しました。ハンドメイドクリエイターの作品発表・販売イベント「まちの小さな雑貨市」や、アートを身近に感じてもらうイベント「あなたと私の芸術祭」も、これまで複数回実施しています。
素人だからこそ、今までにない価値を創り出せる
新事業はいずれも、電気やガスとは無関係です。専門家の知恵を借りてはいますが、私たちはパンづくりも小売店舗の経営も、グランピングの運営管理も、何もかも不慣れな素人です。より良い商品にするため、ターゲットに届けるために、今も暗中模索の毎日です。
ですが、本来的にビジネスとはそういうものだと思います。未知の分野であっても、どんなお客様にどのように商品を知ってもらい、どのように喜んでいただきながらビジネスとして成立させるかを考えて課題を克服していくものでしょう。素人的なところはあるかも知れませんが、「自分にもできるかもしれない」「どうすればできるか、考えよう」と意欲を持って取り組み、一つずつ形にしていくことができれば道が繋がるのではないでしょうか。大学時代の私が、そうであったように。
新たな価値を探し、「難しくてもやってみよう」と進み続けることができる会社であれば、どのような時代が来ても生き残ることができる。私はそう信じています。
GCCOほどバリエーション豊かな業種が集まる場は、他にない
GCCOは好立地であり、食事が美味しくてサービスも良いため、100人以上が集まる事業所長会議や歓送迎会など、何かと活用させてもらっています。
私もそうでしたが、大きな組織にいると他部署や取引先との交流でも新しい考え方や視点を学ぶことができるため、それで満足してしまいがちです。しかし、それらはやはり限定的なものです。まったく接点がない分野の方々との出会いは、何歳になっても自分の可能性を大きく広げてくれるに違いありません。これからも可能な限りイベント等に参加したいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(インタビュー記事:ライティング株式会社)